沈黙の森①

(シャープ)『司、僕達の村に行かないかい?』

そう言うと、シャープは

自分の頭上で、軽やかに、クルッと回って見せた…

(シャープ)『ジーノ大婆様が、地球に帰る方法を知ってるかもしれないよ?!』

…ここで、一人で地球に帰る方法を探したところで、見付かるかどうか、解らないし、ジーノ大婆様って、多分長老のフェアリーが

もし、地球に帰る方法の手掛りを知ってるなら

っと思い…

「えっ、うん」

(シャープ)『じゃー、行こう』

シャープは自分の肩に乗って

そう言ったかと思うと…

また、飛び立って、自分の頭上で、しなやかに、クルッと回った…

すると…

手の平程の大きさの、シャープとフラットが、だんだん大きくなってきた…

っかと思うと…

フラットが自分の腕を掴み
自分を空中に浮かせた…

「うわぁっ、飛んだっっ、空中を…」

浮いてる…

っえっ…

マジ…



フェアリーが自分と同じ位の大きさに変化したのか?

…フラットに腕を掴まれながら空を飛んだ…

飛んでるのか???

自分が??

「うわぁっ」

高く、飛んだ

なんて綺麗な景色なんだろう…

黄昏の光景が

目の前に広がって

山や川や湖も遥か前方には…

かすかに海が広がっ

てる様にも見える

それにしても
空気がとても綺麗に思える
目に映るもの全てが

まるで世界遺産に、匹敵するほどの景色だ



地球とは違うが

限りなく地球に似た惑星だ




…しばらく



空中遊泳をしていると…



(シャープ)『司、もう少しで僕らの村に着くよ…

ほら

あそこに見えてきたよ』



シャープが指差す方向を見ると、雑木林の中に明かりが見えてきた、
そうすると、フラットが腕を掴んだまま急降下し始めた …えっ突然 不思議な衝動を覚えた。 辺り一面大きなものばかりだ こんなに…木が大きいのか? …自分が小さくなったみたいだ!
不思議な場所だな? 「シャープさん! ここの木はなんでこんなに大きいんだい? 全てが大きいよ?」 (シャープ)『司、違うよ、司が小さくなったんだよ 僕がリムをかけたのさ』 「っえ、自分が小さくなったのかい? けど、いったい何時の間に!」 自分は、不思議に笑みを浮かべていた… リムって多分、魔法の様なことだろう そんなことが本当に出来るなんて… …だが、実際に自分の身体で体験しているのだから 間違い無いだろう 人間を小さくしたなら ミニマム系魔法だな! シャープは魔法使いなのか… …そして 辺りを見渡してみるとフェアリー達が住んでると思われる大木の上の家が幾つか確認出来る… もう辺りは薄暗いからなのか、家からの明かりが漏れている 木の枝を組み合わせて柱を立て、そこに粘土や泥を、きれい塗り壁を作った様な家が有る… 明かりはオイルランプの様な原理で灯りを付けている ベットはハンモック風に見える (シャープ)『司、あの家にジーノ大婆様が居るんだよ』 それにしてもシャープは、何故、親切にしてくれるのだろう… そして フラットは、まだ一度も話をしていない 何故なんだろう… 自分はシャープの後を付いていった 彼女が大婆なのか…

 

 

 

 

(シャープ)『ジーノ大婆様、大婆様の言うとおりに森にネロが来たよ
だけどシドじゃないよ
地球から来たって!
それで、ネロが
地球に帰る方法を知りたいって、大婆様なら何か知ってるんだろう?
教えてあげてよ!』

(ジーノ)『シャープや、ご苦労じゃったな、森に来たネロはシドでは無かったかい。
そうかぁ、じゃが、伝説では、28年前に救世主が現われているはずじゃったんだが…
もうこの惑星の危機は防ぐことは出来ないのかの~』

「申し訳有りません、自分が救世主では無くて」
シャープ達や大婆様の落胆の様子に訳も解らず謝っていた (ジーノ)『そなたが謝ることは無い、この村の運命なのじゃ… じゃが、なぜ、そなたが地球から来たのかのう? 予言があってから、この国に、救世主と名乗るネロが幾人か来たのじゃが 皆違ってな、この村の秘密と宝が目当ての連中ばかりだったのじゃ どこから、秘密の宝を知ったのか? 何も知らずこの村に来たネロは、そなたが初めてじゃよ しかも、ヤーヤの大きさにされて、
シャープとフラットに付いてきたなんてのう』 と、大婆様は笑いながら、言った 「ジーノ様、地球に帰る方法をご存じなのですか? 教えて下さい」 (ジーノ)『まあ、そんなに慌てなさるな、地球に帰る方法は有る 帰るには、ちょっと時間がかかるがな』 「ジーノ様どうしたら、地球に帰れるのですか?」 大婆様は、何か思い出すのか、考えているのか うつむき、僕がもう一度同じ質問をしようとしたとき、また、話し始めた…
(ジーノ)『まずはな、この沈黙の森のファナンの方向に有る[沈黙の滝]に行きなさい そして、バヤバサの葉を持って、レムの方角の癒しの「湖の協会」で洗礼を受けなさい 洗礼が無事に終われば、地球に帰る呪文が解るだろう』 呪文? 「その呪文で地球に帰れるんだね」 よし! 「ありがとうございます、ジーノ様」 (ジーノ)『シャープとフラットも司殿と一緒に行くがいい 二人は必ず司殿の役にたつじゃろう そしてまた、いい修業になるはずじゃて!』 (シャープ)『ジーノ大婆様、救世主のお迎えは?』 (ジーノ)『何も心配せんでよい ワシとウリ様に任せておきなさい』 (シャープ)『ウリ様は、修業から戻られたんですか?』 (ジーノ)『うん、そうじゃ、ウリ様は立派になって戻って来たよ 想像以上にな! あの歳で父親の実力を越えているよ …明日にでもウリ様に会うといい
明日はウリ様のメジャーの儀式と、三人の旅立ちの儀式じゃな!』 「…シャープ! 儀式とかメジャーとか 修業やらっていったいなんなんだい それと、ウリ様って誰なんだい?」 ジーノ様に尋ねれば、詳しく教えてくれるのは、当然ではあったが… 地球に帰る方法を知った安堵感で、その事以外は尋ねることはしなかった…


そんな思いをシャープやフラットが解るはずもない… 特にシャープはウリ様が帰って来ている話を聞いてからというもの 喜んでいるのか フラフラなのか ユラユラなのか とにかく飛び回っている どこから見ても嬉しそうな二人を見ながら 自分もこの星に来てから初めて 笑顔になっていることに気が付いた…

そして っふっと、我に返ったのか、人生にはショッキングなことが、起こるものだ… こんな経験などしているのは、地球上で自分だけかもしれないな… フェアリーが実在して この星は地球の様で 確かに地球ではない 雲一つ無い夜空の明るさや この空気の香りと感覚 …勿論、ヤーヤ・ハン・ザク、ネロもそうだが… 現に、ここに来たときとは辺りの景色や大きさが違う… それは勿論 シャープのリムの力ではあるが… この惑星では、魔法が存在している そもそも、地球外惑星のはずなのに、何故言葉が通じている のか… 活字や言葉では表現の範囲を超越し、不思議で奇怪なことばかりだ。 現実の地球の世界では… 家族や恋人や同僚は… 皆、突然の僕の失踪に 疑問を抱いていることだろう まさか、このまま現代に帰えれなければ 大切な打ち合わせには 到底間に合わない 間違い無く職場には自分の席は無いだろう。 公園のベンチで平凡過ぎる毎日に 飽きてはいたが これほど、ショッキングな事態になるとは 真っ暗で、脳裏がヒックリかえる空間をぬけて来てから… 一日が終ろうとしている。 明日には、ジーノ様が言った通りに、洗礼を受ければ地球に帰れると安堵しながら… フラットが案内してくれた 少し大きなハンモックに横になり 眼を閉じた。